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イタリア、難民は「EU域外に送って審査」 アルバニアに第一陣16人移送、不法移民対策で

産経ニュース 2024年10月16日 9時46分

【パリ=三井美奈】イタリア政府は今週、アドリア海を挟んだ対岸国アルバニアに建設した移民収容施設への第一陣16人の移送を開始した。不法移民の流入を阻止するとして、メローニ伊首相が主導する計画。欧州連合(EU)域外のアルバニアで難民審査を行う。

国営イタリア放送協会(RAI)によると、16人はバングラデシュとエジプトからの移民で、リビアから渡航したとみられている。16人を乗せた軍用船が14日、アルバニアに向けて出港し、16日に到着する予定という。

収容施設はアルバニア北部シェンジンとジャデルの2カ所に開設され、難民審査はイタリア政府職員が同国法に基づいて行う。難民と認定された人はイタリア滞在を認められ、認定されなかった人は送還される。昨年11月に発表された計画によると、収容施設の人員は計3000人まで増やすことになっている。

イタリアは北アフリカからEUを目指す移民船が押し寄せる玄関口となっており、メローニ氏はこの計画により「渡航してもEU域内に入れない」と示すことで、密航が抑止できると主張してきた。アルバニアはEU加盟候補国で、メローニ氏は15日、国会演説で「EU精神に沿った問題解決策」と誇った。イタリアはアルバニアのEU加盟を支援すると約束している。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「イタリアの計画は、難民申請の権利侵害にあたる」と批判した。だが、移民流入に悩むEU諸国でイタリアの計画への注目度は高い。今年5月にはデンマークやポーランド、オランダなど15カ国がイタリアをモデルに、「安全な域外国」で難民審査を行うようEUに提案する共同書簡を発表している。

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