ロシアによるウクライナ侵略で、英誌エコノミストは17日、ウクライナ軍が越境攻撃を行う露西部クルスク州の戦況に関し、ウクライナ軍の支配面積が最大時の「約半分」まで縮小したと報じた。同州のウクライナ軍司令部高官の話として伝えた。ウクライナは8月上旬に着手した電撃的な越境攻撃で、一時は同州の1300平方キロ以上を占領下に置いていたとされる。
この高官によると、同州でのウクライナ軍の苦戦は当初投入していた精鋭部隊を練度の低い部隊に置き換えた9月下旬に始まった。露軍は火力や兵士数で「圧倒的優位」にあり、ウクライナ軍の全部隊が「防御戦闘に切り替えた」という。
ウクライナ軍のシルスキー総司令官も同日、「クルスク州で露軍が北朝鮮兵を使って3日連続で激しい攻勢に出ている」と述べた。現地メディアが伝えた。
ウクライナ軍は8月、最激戦地の東部ドネツク州から露軍を引き離す狙いなどからクルスク州への越境攻撃に着手。露軍も9月ごろから本格的な反撃を始め、最近は北朝鮮兵も突撃戦に参加させ始めたとされる。
一方、ドネツク州の戦況を巡り、露国防省は同日、ポクロフスク方面の集落アノフカを制圧したと主張した。ウクライナ軍東部方面部隊は同日、攻防が続く小都市クラホボを含む複数のウクライナ軍陣地が露軍地上部隊の攻撃を受けたと発表。複数の陣地が破壊され、保持できなくなったという。(小野田雄一)