【パリ=三井美奈】フランスで夫が妻を薬物で眠らせ、インターネットで募った希望者に性的暴行をさせていた事件で19日、全51被告に禁錮刑判決が下った。「性暴力の連鎖」を暴いた裁判は米欧で広く注目を集め、被害者ジゼル・ペリコさん(72)は支援者らを前に「男女が互いに尊重する未来につなげてほしい」と述べた。
裁判は南仏アビニョンの法廷で行われ、夫のドミニク・ペリコ被告(72)は、被告の中で最も重い禁錮20年の判決を受けた。刑期が最も短かったのは、わいせつ行為に加担した2被告で、執行猶予付き禁錮3年だった。裁判で夫は起訴事実を認めたが、約30人の被告は「罠(わな)にはめられた」「同意があると思った」と主張。「不同意性交」の罪をどこまで追及できるかが争点だった。
ジゼルさんは公開裁判を希望し、仏国内で「性暴力との戦い」の象徴となった。19日は孫に伴われて法廷に姿を見せ、大きな拍手を浴びた。
この事件は2020年に発覚した。夫は約10年間、ネットで知り合った約80人を次々と自宅に招き、妻に性暴力を加える様子を撮影していた。押収された動画などから身元が判明した50人が夫と共に起訴され、今年9月に裁判が始まっていた。