【ロンドン=黒瀬悦成】ポーランドのトゥスク首相は15日、ロシアがポーランドを含む全世界の国々の民間航空機に対して「テロ行為」を計画していたと明らかにした。ワルシャワを訪れたウクライナのゼレンスキー大統領との会談後の共同記者会見で語った。
トゥスク氏はテロ計画の具体的な内容には言及しなかったが、米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は13日、ロシアが米国に向かう複数の貨物機の積み荷に発火装置を紛れ込ませ、機体を空中で炎上させるテロ計画を進めていることを米情報機関が察知し、バイデン米政権がプーチン露政権に計画の放棄を要求したと伝えていた。
英国とドイツ、ポーランドでは昨年7月、航空用貨物の集積所で相次いで爆発が起き、各国の治安当局は、ロシアが関与した貨物機テロの予行演習だったとの見方を強めている。
また、チェコのクプカ運輸相が昨年4月に語ったところでは、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻開始以降、ロシアが欧州の鉄道網を破壊しようと数千回にわたって攻撃を仕掛けたとされる。
欧州各国は、ロシアがウクライナを支援する国々を揺さぶる目的で、軍事的脅迫に加えて破壊活動や偽情報工作、心理戦などを駆使したハイブリッド戦争を仕掛けてきているとして警戒を強めている。
プーチン政権は、欧米が指摘するいずれのテロ計画や破壊工作にも関与していないと主張している。