【ロンドン=黒瀬悦成】北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は14日、フィンランドのストゥブ大統領、エストニアのミハル首相との共催で、北欧とバルト三国、ドイツ、ポーランドによる首脳会合をフィンランドの首都ヘルシンキで開き、バルト海で海底の通信ケーブルなどの重要インフラが次々と損傷している問題を協議した。
ルッテ氏は会合で、一連の事態を受けてNATOがフリゲート艦や哨戒機、無人機などを駆使し、海底インフラの防護に向けて警戒監視を強化する、「バルトの哨兵」と名付けられた新たな軍事作戦を発動させると表明した。
軍事作戦では破壊活動に対し、必要に応じて対抗措置を取るとも指摘した。
会合の終了後には共同宣言が発表され、過失または故意による海底の重要インフラの損傷に「深い懸念」を示し、破壊活動であることが明白な事案を「強く非難する」とした。
共同宣言はまた、NATOによる「バルトの哨兵」作戦の発動を「歓迎する」とし、関係国が引き続き抑止力と防衛力を強化し、能力を向上させ、国防費の支出拡大の緊急性を認識しつつ増大する脅威に対抗していくと強調した。
バルト海では昨年11月、リトアニアとスウェーデンのゴットランド島を結ぶ通信ケーブルが不通になったほか、フィンランドとドイツを結ぶ通信ケーブルが損傷した。
12月にはフィンランドとエストニアを結ぶ電力ケーブルが損傷し、ロシアから石油を密輸出する「影の船団」の一隻による破壊工作の疑いがあるとして関係当局が捜査している。