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英の右派政党「リフォームUK」の支持率、与党・労働党に肉薄 2大政党制終焉か

産経ニュース 2025年1月17日 12時50分

【ロンドン=黒瀬悦成】英国で欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を主導した大衆迎合政治家、ナイジェル・ファラージ氏率いる右派政党「リフォームUK」の支持率が与党の労働党に肉薄したことが最新の世論調査で分かった。景気対策で成果を出せないスターマー労働党政権の人気低下が主因とみられる。こうした傾向が続けば、伝統的な保守党と労働党による2大政党制が終焉(しゅうえん)に向かう可能性もある。

調査会社ユーガブが今週公表した世論調査によると、「明日総選挙が行われたらどの党に投票するか」との設問に、労働党と答えた有権者は26%、リフォームUKは25%だった。野党第一党の保守党は22%にとどまった。

ユーガブによる政党支持率調査は昨年7月の総選挙後初めて。

労働党は同総選挙で地滑り的勝利を収め、14年ぶりに保守党から政権を奪還したものの、最大懸案の景気回復では目立った成果を上げられないでいる。昨年10月にはリーブス財務相が初の財政演説で、財政赤字の緩和に向けて400億ポンド(約8兆円)の大規模増税を発表し、有権者の反発を浴びた。

経済状況は景気後退の中で物価上昇が続くスタグフレーションの様相を呈し、経済専門家の間では英経済の「メルトダウン」への懸念も広がっている。

ユーガブによれば、2029年に予定される次回の総選挙で労働党に投票するとの回答は、24年の総選挙で労働党に投票した有権者の54%にとどまった。

これに対し、24年にリフォームUKに投票した有権者は、87%が29年も同党に投票すると答えた。

保守党は、24年総選挙でリフォームUKに流れた票を取り戻すため、同年11月の党首選で強硬保守派のケミ・ベーデノック氏を選出した。しかし、世論調査では24年に保守党に投票した有権者の15%が29年にはリフォームUKに投票すると回答するなど、保守党の求心力が逆に下がっている実情が浮き彫りとなった。

リフォームUKは24年総選挙で得票率約14%、約411万票を獲得。下院(定数650)では5議席を占め、今後も躍進を果たすかどうかが注目される。

ただ、ファラージ氏はトランプ次期米政権との関係で不安要素も浮上している。

ファラージ氏は、トランプ次期大統領および次期政権の要職に就任予定の実業家、イーロン・マスク氏との親密な関係を強調するが、昨年12月に同氏と会談した際、英極右活動家のトミー・ロビンソン氏を称揚するマスク氏に同調せず、同氏の不興を買った。

マスク氏は今月5日、X(旧ツイッター)への投稿で「ファラージ氏には党を率いる資質がない」として辞任を要求。マスク氏は、それまではリフォームUKを含む欧州の右派・極右政党を支援する立場を打ち出しており、ファラージ氏としても自党の党勢拡大にはマスク氏との関係修復の成否がカギとなりそうだ。

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