【ブダペスト=三井美奈】ウクライナのゼレンスキー大統領は7日、ブダペストで記者会見し、米大統領選で勝利したトランプ前大統領がロシアとの戦いに停戦圧力をかけることを警戒し、「ウクライナの安全を保証せずに、停戦を急ぐのは危険だ」と述べた。
ゼレンスキー氏の発言は、欧州連合(EU)と近隣諸国による「欧州政治共同体(EPC)」首脳会合後の記者会見でのもの。会合でホスト役であるハンガリーのオルバン首相が、トランプ氏の勝利に勢いを得て停戦を急ぐよう訴え、「西側で停戦を望む国は、米大統領選前より増えた」と主張したのに反論した。
ゼレンスキー氏は、6日にトランプ氏と電話会談したことに触れたうえで、「トランプ氏は早急に戦争を終結させたがるだろうが、実現するとはかぎらない。ロシアは非常に複雑な敵だ」と述べた。さらに、「戦後のことを考えずに停戦を主張するのは無責任」「停戦を提案するのは、北大西洋条約機構(NATO)へのウクライナ加盟に反対する指導者だ」と口調を荒らげた。オルバン氏を念頭に置いた発言だ。
ゼレンスキー氏はまた、ロシアに派遣された北朝鮮兵にも言及した。1万1千人が露西部クルスク州で戦闘に加わり、損失が出ていると指摘。「政治的圧力を加えなければ、北朝鮮は派兵の数を増やすだろう」と予測した。