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米露などが異例の24人身柄交換 米記者や露元工作員 反体制派活動家らも

産経ニュース 2024年8月2日 9時21分

米露と欧州諸国は1日、それぞれの国で拘束・収監されるなどしていた計24人の身柄を、トルコの首都アンカラで交換した。各国政府が発表した。身柄交換の規模では冷戦時代も含め過去最大とみられる。ロシアと隣国ベラルーシが米国人記者や国内の反体制派活動家ら計16人を釈放したのに対し、米欧側は殺人罪などで服役中だった露情報機関の元工作員らロシア人8人を帰国させた。

交渉は北大西洋条約機構(NATO)の一員ながら対露関係を維持するトルコが仲介し、米露やドイツ、ノルウェー、スロベニアなど計7カ国が関与した。バイデン米大統領は声明で「困難で複雑な交渉をくぐり抜けた同盟諸国に感謝する」と述べた。

一方、ロシアが身柄交換に応じたのは利益の一致によるもので、ウクライナ侵略で決定的に対立した米欧との関係改善にはつながらないとの見方が強い。サリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は1日の記者会見で、「ウクライナ情勢と身柄交換の交渉は別の問題だ」と語った。サリバン氏は露側への金銭の支払いを否定した。

ロシアは、ウクライナ侵攻後の23年3月に露国内を取材中に拘束されスパイ罪で収監された米紙ウォールストリート・ジャーナルのエバン・ゲルシコビッチ記者や、米政府系「ラジオ自由欧州・ラジオ自由(RFE・RL)」のアルス・クルマシェワ記者、元米海兵隊員のポール・ウィラン氏の米国人3人を釈放。露反体制派指導者ナワリヌイ氏(今年2月に獄中死)の盟友イリヤ・ヤシン氏や、政治評論家のウラジーミル・カラムルザ氏など反体制派運動の関係者8人も釈放して出国させた。

ベラルーシで収監されていた1人を含むドイツ人5人も釈放された。

これに対し米欧側は、殺人罪やスパイ罪などで収監されていた露軍参謀本部情報総局(GRU)の工作員ら8人の身柄を釈放した。(小野田雄一、ワシントン 大内清)

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