【パリ=三井美奈】先進7カ国(G7)は26日、イタリア中部での外相会合閉幕にあわせて声明を発表し、ウクライナを侵略するロシアへの北朝鮮の派兵について「深刻な懸念」を表明した。中国がロシアの防衛産業を支え「違法戦争の継続を可能にしている」とも明記し、対中警戒感を強くにじませた。
声明は、北朝鮮の派兵について「危険な紛争の拡大を示すものだ。欧州やインド太平洋地域の安全保障に重大な影響を及ぼす」と指摘した。北朝鮮とロシアの軍事協力の拡大について「可能な限り強い言葉で非難」するとした。ロシアが21日に新型中距離弾道ミサイル「オレシュニク」を使ったことについては、「無謀で事態を悪化させる」ものだと非難した。
中国については、ロシアや露軍事産業への支援を強めているとして「強い懸念」を表明した。中国企業による攻撃用無人機、軍民両用品のロシア移転をやめさせるよう要求した。
貿易政策を巡っても、中国は「有害な過剰生産と市場のゆがみをもたらし、労働者や産業、経済や安全保障を損なっている」として懸念を示した。南シナ海での威嚇や軍事行為に強く反対した。
中東情勢を巡って声明は、イスラエルに対して国際人道法の順守を求めた。同国のネタニヤフ首相に対する国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状発行には言及しなかった。イスラム原理主義組織ハマスはテロ組織であり、イスラエルと同列に扱ってはならないと明記した。
今回の会合には、日本から岩屋毅外相が出席。日本がウクライナ支援を継続する姿勢を示した。