Infoseek 楽天

パリ五輪開会式成功も戦争の影落とす イスラエル選手団にブーイング、テロにおびえる市民

産経ニュース 2024年7月27日 11時29分

【パリ=板東和正】パリ五輪は26日、夏季五輪として初めて開会式を競技場以外で開催し成功させた。市民は1世紀ぶりのパリ大会への期待に胸を膨らませつつ、テロの不安を感じながら見守った。また、イスラム原理主義組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルの選手団がブーイングを浴びる一幕もあり、戦争の影が映し出された開会式となった。

「セーヌ川での開会式は画期的な挑戦だった。成功したことはフランス人として誇りだ」

テレビで開会式を鑑賞したパリ市民の女性(40)は興奮して語った。

フランス国内では25日夜から26日朝にかけ、高速鉄道TGVの3路線で破壊行為が発生。緊迫した状況で開会式が行われた。

仏政府は開会式当日に警察や憲兵隊約4万5000人を投入。「テロが入りこむ隙間をなくす強力な防衛」(欧州の政治専門家)と評価されていた。

しかし、TGVの破壊行為を許した仏警察の対応を不安視する人も少なくなく、「開会式でテロが起きるのではないかと冷や冷やしながら見守っていた」との市民の声も聞かれた。

一方、開会式では戦争の影もつきまとった。イスラエル選手団が入場すると、フランス人の観客から激しいブーイングが起こった。

フランスでは左派系野党議員がパレスチナ支持の立場から、イスラエルの参加は「歓迎されない」と述べているほか、イスラエル選手に殺害予告などの脅迫も相次いでいる。

欧州メディアなどによると、武装したイスラエルの治安部隊が自国の選手を守るため、入場行進の船に同乗していたとの情報もある。

また開会式では、ウクライナの選手団が国旗の色である青と黄を基調としたユニホームを着て入場行進に参加し、盛大な拍手を受けていた。ウクライナへの侵略を続けるロシアと同盟国ベラルーシの選手は入場行進を認められなかった。

この記事の関連ニュース