【パリ=三井美奈】ドイツ連邦議会(下院)は16日、ショルツ首相の信任案を反対多数で否決した。これを受け、シュタインマイヤー大統領は近く議会を解散し、来年2月に総選挙が行われる。
ドイツでは首相に議会解散権がなく、信任投票の否決が前倒し総選挙に向けた手続きとなる。解散総選挙は2005年のシュレーダー政権以来、19年ぶり。信任案は2月23日の総選挙実施を目指し、与野党合意に基づいて提出された。
ショルツ政権は、首相の中道左派「社会民主党(SPD)」、環境政党「緑の党」、経済界に近い自由民主党(FDP)の3党連立。21年、「環境産業による経済再生」を掲げて発足した。だが、長引く景気不安で支持率が低迷。先月、連立は経済政策をめぐる対立から崩壊した。
支持率調査では現在、最大野党の保守系、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が32%で首位に立っており、政権が交代する可能性が強い。反移民を掲げる右派「ドイツのための選択肢(AfD)」は18%で、2位に伸長。与党陣営はSPDが16%、緑の党が14%と苦戦している。
任期満了に伴う総選挙は、来年9月に行われる予定だった。