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サイバー犯罪捜査へ国際協力 国連総会特別委が条約草案を採択、西側「主導権取り戻した」

産経ニュース 2024年8月9日 16時27分

【ニューヨーク=平田雄介】国連総会(193カ国)の特別委員会は8日、不正アクセスや児童ポルノ流布などの犯罪捜査で国際協力のあり方を定めるサイバー犯罪条約の草案を議場の総意により採択した。近く国連総会の全体会合で正式に採択される。

条約交渉はロシアの主導で2022年に始まり、強権国家が捜査を名目に反体制派を抑圧するとの懸念が人権団体に広がった。日本や米国など西側諸国が人権保護や捜査手続きに関する規定の明確化を求め、おおむね最終案に反映された。

8日は採択直前にイランが人権保護規定など計7条項の削除要求を個別に提案し、ロシアやベネズエラなどが同調したが、否決された。国連加盟国の約3分の2を占めるグローバルサウス(南半球を中心とした新興・途上国)の多くと西側の足並みがそろった。

イランやロシアも最終的に議場の総意による採択に反対せず、国際社会が一致してサイバー犯罪を取り締まる姿勢を示した形だ。西側の政府筋は「交渉の主導権を土壇場で取り戻すことができた」と述べた。

条約案は国連総会での正式採択後、加盟国の署名が始まり、40カ国が批准してから90日後に発効する。日本でも、署名に向けて国内法との整合性などの検討が始まる見通しだ。

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