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ガザ停戦歓迎も根深いイスラエルへの憎悪 「報復する」と誓う女性

産経ニュース 2025年1月16日 9時50分

イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスが停戦で合意に達した15日、パレスチナ自治区ガザの住民は喜びに沸いた。人々は約1年3カ月に及ぶ戦闘の間、爆撃を避けるために最低限の所持品で何度も移動を余儀なくされた。戦闘は平穏な生活を奪い、抜きがたい憎悪を植え付けた。ガザのパレスチナ人が世代を越えて反イスラエル感情を継承することは確実だ。

停戦合意が伝えられた15日夜、欧米メディアはガザ中部デールバラハなどで喜びを爆発させる人々の姿をライブで放映した。

停戦が現実味を帯びた14日、交流サイト(SNS)で産経新聞の取材に応じたデールバラハの34歳女性は「ガザの住民はみな喜んでいる」と話した。一方で、「占領者(イスラエル)はハマスのメンバーでもない私の兄弟を暗殺した。私は報復しなくてはならない」と明かした。

女性はまた、「日々の生活は苦しいが、多くの住民はガザにとどまり、自分たちの存在を否定するかのようなイスラエル軍に抵抗を続けるだろう」と述べた。

イスラエル軍はガザ全域で爆撃を続け、食料など必需品の搬入は著しく制限された。下水が路上に流される劣悪な衛生状態で、人道危機が深刻化した。

中でも北部は厳しい状況に置かれた。イスラエル軍が昨年10月、難民キャンプがあるジャバリヤなど北部の一部を封鎖して軍事作戦を始めたからだ。激しい攻撃で市街はゴーストタウンと化し、「野良犬が人間の遺体を食べて身元確認が困難になっている」(米CNN)とも報じられた。

中東の衛星テレビ局アルジャジーラ(電子版)は今月12日、作戦により5千人が死亡もしくは行方不明となったと伝えた。

夜の気温が摂氏7度前後まで下がるガザでは昨年末、テントなどで暮らしていた6人の赤ちゃんが低体温症で死亡した。

ガザ保健当局によると、2023年10月の戦闘開始以降のガザの死者数は4万6700人超。実際の死者数は発表された人数より4割多いと推測する英国の研究もある。

国連によると死者の7割近くは女性と子供が占め、推定1万9千人の子供が孤児になった。110万人の子供が悪夢や不安に見舞われ、攻撃的になったり口数が少なくなったりしており、精神的なケアが必要だとしている。(カイロ 佐藤貴生)

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