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米国連大使、安保理改革で「アフリカ2カ国を常任理事国に」訴え、日独印の常任入りも支持

産経ニュース 2024年9月13日 8時14分

【ニューヨーク=平田雄介】米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は12日、東部ニューヨークで開かれたシンクタンク外交問題評議会の会合で講演し、国連安全保障理事会(15カ国)の改革について、「アフリカ地域から2カ国を常任理事国に加えるべきだ」と訴えた。日本、ドイツ、インドが求める常任理事国入りも支持した。

米国には、民間人被害が拡大する一方のパレスチナ自治区ガザでの戦闘を巡り、イスラエルを擁護する米国に批判的なアフリカ諸国の「不満を和らげる狙い」(国連外交筋)もあるとみられる。

トーマスグリーンフィールド氏は、アフリカ地域に任期2年の非常任理事国の3議席を割り当てる現行制度は「アフリカ諸国の知識と声を安保理の活動に完全に活かせない」と語り、アフリカの指導者が「常任の議席に座るときだ」と強調した。

日独印に加えて、中南米地域の国の常任理事国入りも支持。気候変動に伴う海面上昇の被害を受けやすい「小島嶼(とうしょ)開発途上国(SIDS)」グループ39カ国から、「1カ国を非常任理事国に加えるべきだ」とも訴えた。

トーマスグリーンフィールド氏は、新会期に入った国連総会で安保理改革に関する「文書に基づく交渉」の可能な限り早い開始を求める考えだ。

現在の安保理は、常任理事国5カ国と非常任理事国10カ国で構成。拡大改革後の安保理の全体像は「加盟国のさらなる議論」(米政府高官)の行方次第だが、安保理改革を議論する国連の政府間交渉(IGN)では「20台半ば」まで増やす方向で各国の足並みが一定程度そろっている。

他方、米国は新しく常任理事国となる国には拒否権を与えない方針。アフリカ諸国は拒否権の廃止を求めるが、廃止しないのであれば新たな常任理事国にも拒否権を付与すべきとの立場。日独印とブラジルでつくる改革グループG4は、新しい常任理事国も「現在の常任理事国と同じ権利を持つべきだ」としている。

米国が常任理事国の候補としてブラジルを名指ししないのは、同じ中南米の地域大国「メキシコなどへの配慮」(西側政府筋)とみられている。

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