【リオデジャネイロ=平田雄介】南米ブラジルで開幕した20カ国・地域(G20)首脳会議は18日、ロシアのウクライナ侵略に伴う世界的な経済的打撃とパレスチナ自治区ガザ戦闘での人道危機を憂慮し、「平和なくして繁栄なし」とうたう首脳宣言を公表した。2日間の日程のうち、初日に公表する異例の展開。ウクライナ侵略の対露非難は、昨年の宣言に続いて盛り込まれなかった。
今年の宣言は、議長国ブラジルが公表。「公正な世界」を築くとし、国連憲章に従い、全ての国は「領土獲得を目的とした武力行使を慎まなければならない」と訴えた。
中東危機の激化に深い懸念を示し、イスラム原理主義組織ハマス壊滅を掲げてガザ攻撃を続けるイスラエルとパレスチナが平和的に共存する「二国家解決」を支持した。
ウクライナ侵略では、供給網寸断で生じた食料・エネルギー不足の悪影響を強調。新型コロナ禍と合わせ、経済的打撃が大きかった途上国の支援を続ける。飢餓と貧困の撲滅に加え、食料確保を目指し、気候変動や砂漠化に立ち向かうとした。
途上国に債務再編の選択肢を与える国際開発金融機関(MDBs)の機能改革を奨励。紛争処理機能が停止している世界貿易機関(WTO)の機能強化も進める。国連改革では、総会の役割を強化し、安全保障理事会の理事国拡大を要求する。