【ソウル=桜井紀雄】韓国で「非常戒厳」を宣布し、弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の側近で、大統領府を統括する鄭鎮碩(チョン・ジンソク)大統領秘書室長は14日、談話を発表し、警察などでつくる合同捜査本部が15日にも内乱首謀容疑による尹氏の拘束令状の再執行に乗り出す可能性があるとの見方を示した。
3日に大統領公邸での令状執行に失敗した捜査本部が再執行に向けて大規模な警察部隊の投入を準備する中、鄭氏は、執行を阻止しようとする大統領警護処の要員らとの衝突を回避するよう訴えた。警察が公邸前でデモを続ける尹氏の支持者らと衝突すれば、「想像すらできない悲劇が発生し得る」とも警告した。
捜査本部側と警護処は14日、令状の再執行を巡って協議したが、本部側が再執行を試みれば阻止するとの警護処の方針に変化は見られなかった。
韓国メディアによると、裁判所は13日、警護処長代行の金声勲(キム・ソンフン)次長の特殊公務執行妨害容疑などによる拘束令状を発付した。捜査本部は尹氏の令状執行に先立ち、金氏ら幹部を現場で拘束し、警護処の指揮系統の分断を図る可能性がある。
鄭氏は「捜査本部が公邸で孤立する尹大統領に手錠をかけて引きずり出そうとしている」と主張。「国家元首を南米の麻薬ギャングを扱うように追い詰めている」と批判した。大統領府は捜査当局と協議する準備があるとも提案し、第三の場所などで尹氏が取り調べに応じる方法を検討できると呼びかけた。
14日には尹氏の罷免の可否を判断する憲法裁判所の弾劾審判の初弁論も開かれた。尹氏は予告通りに欠席し、約4分で終了した。第2回弁論は16日に開かれる。