【ソウル=桜井紀雄】韓国警察は「非常戒厳」宣布を受けた内乱容疑での尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領に対する拘束令状の執行を妨げたとして、特殊公務執行妨害などの疑いで、大統領警護処長代行の金声勲(キム・ソンフン)次長の身柄を拘束する方針を固めたもようだ。韓国メディアは12日、警察が金氏の拘束令状を検察に請求したと伝えた。
10日に辞任し取り調べを受けるため警察に出頭した朴鍾俊(パク・チョンジュン)前処長に代わり、金声勲氏は大統領警護の責任者となっている。捜査当局との衝突回避を模索した朴氏と異なり、金声勲氏は戒厳を主導した金竜顕(キム・ヨンヒョン)前国防相とも近い強硬派とされ、警察の出頭要請を3回にわたって拒み続けてきた。
警察などでつくる合同捜査本部は、警護処内で尹氏の身柄拘束の断固阻止を堅持する金声勲氏ら幹部の拘束により、大統領警護の指揮を分断した上で、尹氏の拘束令状執行に踏み切るとみられている。警察は他の警護処幹部にも相次ぎ出頭を求めるなど、警護処側に揺さぶりをかけている。
一方、尹氏の罷免の可否を判断する憲法裁判所の弾劾審判を巡り、尹氏の弁護団は12日、14日の第1回弁論に尹氏本人は出席しないと明らかにした。「捜査本部が違法で無効な拘束令状を執行しようとしており、身辺の安全が憂慮される」と主張。「安全問題が解決されれば、いつでも出席する予定だ」と説明した。