16日にペルーの首都リマで開催された日韓首脳会談で、石破茂首相と尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は安全保障などで協力強化を進める方針を確認した。韓国では野党が多数派を占める国会がマヒ状態に陥る中、尹政権は外交で成果を上げるべく着々と準備を進める。一方、韓国メディアでは石破首相の外交力を疑問視する声も上がる。
両首脳の対面は、10月のラオスでの初会談以来で2回目。尹氏が「1カ月でまたお会いできてうれしい」と述べると、石破首相も「(頻繁な首脳交流は)日韓関係の本来あるべき姿だ」と応じ、良好な関係を強調した。
尹氏は今回の外遊に、金建希(キム・ゴンヒ)夫人は同行させなかった。不正投資や違法選挙介入などの疑惑が相次ぐ夫人への捜査を巡る議論で国会運営が停滞する中、尹政権は外交面での実績作りを図る。大統領府関係者によると、尹氏は最近、ゴルフ好きで知られるトランプ米次期大統領との交流に備え、8年ぶりに練習を再開したという。
「韓国は今回、スピード感を持った準備が際立っている」。トランプ氏の初当選時に安倍晋三政権の外務事務次官を務めた杉山晋輔元駐米大使は、米次期政権とのパイプ作りでも韓国が先行しているとの見方を示す。
一方、石破新首相が率いる日本外交に対しては、韓国メディアで懐疑的な見方も出ている。革新系の京郷新聞は専門家の分析を引用する形で「『詩人のように話す政治家』の石破を、荒々しいトランプが相手にするだろうか」と主張。聯合ニュースは、石破首相が「与党が過半数の議席を確保し、安定した内政の中で外交を展開した岸田文雄前政権とは対照的」な状況に置かれ、外交力を十分に発揮することは難しいと分析した。(時吉達也)