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歴史認識問題「特定の文言にこだわらず」 新駐日韓国大使が初会見

産経ニュース 2024年10月7日 17時19分

8月に着任した朴喆熙(パク・チョルヒ)駐日韓国大使が7日、日本記者クラブで会見し、関係が険悪だった過去に後戻りしない日韓協力体制の構築に向けて「両国に安心、安定を感じてもらうのが私の使命だ」と抱負を述べた。来年の日韓国交正常化60年に向けては「『還暦』を迎えた大人の両国が未来世代に対し、より希望ある日韓関係のあり方を提示する必要がある」と強調。1998年に発表された金大中(キム・デジュン)大統領と小渕恵三首相の「日韓共同宣言」に代わる、新たな共同声明の発表に意欲を示した。

大使就任後、朴氏が公式の会見に臨むのは初めて。質疑などはすべて日本語で行われた。

朴氏は60周年記念事業について、「両国関係改善のメリットを国民が肌で感じられる」ことが必要だと指摘。日韓間の往来で、飛行機への搭乗待ち時間を利用して事前に入国審査を実施する「プレクリアランス」の導入に前向きな姿勢を示した。

新たな共同声明の作成では、両国間の歴史認識問題をどう記載するかが焦点となる。朴氏は会見で「特定の文言にこだわる必要はない」とし、歴史に関する表現は「最小限」にとどめればよいとの立場を表明した。

一方、日本語の「乗り越える」という単語に着目し、歴史問題の議論を回避して「乗らずに越える」ことはできないとも指摘。「不幸な歴史問題には、より謙虚な姿勢で向き合うべきだ」と日本側を牽制し、「逃げず、避けず、焦らず」の姿勢で対話を進めるべきだと強調した。

このほか、石破茂首相が創設を掲げる安全保障構想「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」に対しては、中露朝の脅威に「多国間の安全保障協力で対応する、という基本的な考え方は韓国も賛成だ」と表明した。

日韓が朝鮮半島出身労働者に関する常設展示を行うことで合意し、世界文化遺産登録が決まった「佐渡島の金山」(新潟県佐渡市)に関しては、「後続措置として日本側が実施を約束した追悼式に日本政府から政務官以上の高官が出席し、誠意を示してほしい」と求めた。

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