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脱北者、北朝鮮の家族らと「接点」維持 支援者「情報伝われば体制揺らぐ」

産経ニュース 2024年8月13日 21時33分

北朝鮮による日本人拉致問題を調べている支援団体「特定失踪者問題調査会」が横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=拉致事件の映画の動画を北朝鮮に送り込むプロジェクトを始めた。協力するのは韓国の脱北者団体。脱北者の多くも外部映像が北朝鮮を去る「要因」になったとされ、映像の力を物語っている。

韓国に逃れた脱北者は今年6月末までに3万4183人。韓国統一省が今年公表した報告書によると、北朝鮮で国外映画やドラマを視聴した経験がある脱北者は2000年以前の8・4%から、16~20年では83・3%に増えた。

韓国政府傘下の政策研究機関「統一研究院」の韓東昊(ハン・ドンホ)先任研究委員は、最近の若い脱北者が流入した多くの韓国ドラマを通じて「自由が何なのか理解した」と証言していることを指摘。外部の映像が脱北を後押ししているとみる。

20年前に脱北し、現在は韓国で脱北者の社会進出を支援する李河娜(イ・ハナ)さん(60)も、20~30代の脱北者が韓国ドラマなどを視聴するうちに「自分たちの暮らしが劣悪だと気付いた」と語る。李さんによると、電話や手紙、送金などを通じ、北朝鮮に残る家族や知人と接点を持つ脱北者は少なくない。

李さんは「韓国で暮らす脱北者のわずかな一言からも、北朝鮮の住民は韓国の自由や豊かさを知る。接点を維持し、外部の情報が伝われば体制は揺らぐ」と指摘した。(石川有紀)

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