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文在寅前大統領の側近の復権を尹錫悦政権が恩赦で決定 政界に波紋、与野党融和演出狙いか

産経ニュース 2024年8月13日 19時27分

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権は13日、閣議で日本による朝鮮半島統治からの解放を記念する15日の光復節に合わせ、1219人の特別赦免(恩赦)や減刑、復権を行うことを決めた。今回、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の側近で実刑が確定した金慶洙(キム・ギョンス)前慶尚南道(キョンサンナムド)知事の復権も決まったことが政界に波紋を広げている。

韓悳洙(ハン・ドクス)首相は今回の恩赦が「社会統合のきっかけ」となることに期待を示した。尹政権としては4月の総選挙で保守系与党「国民の力」が大敗し、革新系最大野党「共に民主党」が国会で多数派を占める中、金氏という野党側の大物政治家の復権を認めることで与野党の融和を演出する狙いがある。恩赦の対象には、保守の朴槿恵(パク・クネ)、李明博(イ・ミョンバク)両政権時代の高官も含まれた。

金氏は2017年の大統領選を前にインターネットでの不正な世論操作に関与したとして、業務妨害罪などで21年に懲役2年が確定。22年12月の恩赦で残る刑期を免除されたが、被選挙権は回復されず、28年5月まで選挙に立候補できなかった。今回の復権で26年の地方選や27年の大統領選への出馬が可能となる。

金氏は事件で失脚しなければ、文氏の有力な後継者と目された政治家だ。共に民主党では、文氏と距離があった李在明(イ・ジェミョン)前代表が絶大な影響力を振るう中、金氏が将来、李在明氏の有力な対抗馬になり得るとの観測が浮上している。

一方、与党関係者によると、国民の力の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は、閣議決定に先立ち、「民主主義を破壊する罪」を犯したとして、金氏の復権に反対を表明した。韓東勲氏は、大統領夫人の疑惑を巡る対応などでかねて尹大統領との溝が指摘されており、金氏復権を巡って改めて不協和音が顕在化した形だ。金氏復権の余波はしばらく続きそうだ。

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