この秋、韓国を南の釜山(プサン)からソウル近郊の仁川(インチョン)まで縦断するルートを含め、漢江(ハンガン)や洛東江(ナクトンガン)など韓国4大河川沿いの自転車コース計約1千キロを何日かかけて走破した。南部の洛東江沿いを走った際は初秋にもかかわらず、猛暑で、水分補給に一苦労した。
重さのある飲料は大量に持ち運ぶわけにいかない。しかし、十数キロ走っても稲穂がたわわに実る田んぼが広がるばかりで、飲料水やスポーツ飲料を購入できそうな商店は1軒も見当たらない地域も多かった。
焦り始めたところ、出くわしたのが古い型の飲料用自動販売機だ。まさに「砂漠にオアシス」の心境だった。ただ、約110円に当たる千ウォン札やそれ以下の小銭しか投入できない。カード類はもちろん、よく使う一万ウォン札も使えない。
記者はサイクリング時、通常クレジットカードしか携帯しないが、万が一のこともあろうかと、千ウォン札を持っていて事なきを得た。その後も自販機には何度か助けられ、おかげで韓国縦断を無事に達成できた。
日本を訪れた外国人は山奥など至るところに自販機があることに驚くという話を思い出した。もちろん五百円玉や千円札も使え、長距離サイクリングの際も助かるという。今回の旅は、はからずも〝自販機大国ニッポン〟を見直すきっかけともなった。(桜井紀雄)