【ソウル=桜井紀雄】韓国で「非常戒厳」宣布を巡る内乱首謀などの疑いで19日に逮捕された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は20日、捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」の取り調べ要求を19日に続いて拒否した。尹氏は身柄拘束された15日以後、取り調べにほとんど応じていない。公捜処は20日、尹氏を収容先のソウル拘置所から公捜処の取調室に強制的に連れ出す措置の検討に入った。
尹氏の勾留期限は今月28日で、裁判所の許可を得て2月7日まで延長される見込み。ただ、起訴に関しては検察が判断するため、後半の取り調べは、検察が受け持つ見通しだ。
尹氏は、戒厳宣布は大統領固有の統治行為だとし、公捜処による内乱容疑での捜査は違法だと主張してきた。公捜処側は「対面での取り調べが必要だ」と強調するものの、強制的に連れ出したとしても尹氏が黙秘を貫く公算が大きい。
公捜処は尹氏に対し、弁護士以外との接見を禁じた。金建希(キム・ゴンヒ)夫人とも面会できないことになる。尹氏の弁護団は20日、内乱容疑と関係のない家族との接見を制限するのは「大統領への腹いせだ」と非難し、接見制限の撤回を求めた。