北朝鮮は5日午前7時半ごろから同39分ごろにかけ、平壌南方の黄海北道(ファンヘブクト)沙里院(サリウォン)付近から北東方向の日本海に向けて複数の弾道ミサイルを発射した。韓国軍はいずれも短距離弾道ミサイルだったとの分析を示した。日本の防衛省によると、少なくとも7発が最高高度約100キロに達し、約400キロ飛翔(ひしょう)した。日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下したもようだ。
航空機や船舶への被害は確認されていない。北朝鮮は10月31日に新型大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したばかり。日本政府は、国連安全保障理事会決議に違反し、国民の安全に関わる重大な問題だとして、北朝鮮に厳重に抗議した。
北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(ヨジョン)党副部長は発射の直前、日米韓による3日の合同空中訓練を非難する談話を発表。「敵対勢力の軍事的脅威はわれわれの核戦力強化路線の正当性を立証するだけだ」と主張した。合同訓練は北朝鮮のICBM発射に対抗して米戦略爆撃機が参加し朝鮮半島周辺で実施された。今回の一斉発射で日米韓の対北安全保障協力強化を牽制(けんせい)した形だ。
米国では現地時間5日に大統領選が行われる。北朝鮮は選挙目前の軍事的行動で、どの候補が大統領に就いても核・ミサイル増強路線を貫く姿勢を誇示する狙いとみられる。(小沢慶太、ソウル 桜井紀雄)