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韓国・尹大統領拘束でソウル中央地裁が適否を審査 徹底抗戦…弾劾審判にはこの日も欠席

産経ニュース 2025年1月16日 21時17分

【ソウル=桜井紀雄】「非常戒厳」宣布を巡り内乱首謀容疑で拘束された韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、戒厳の正当性を一方的に訴え、捜査機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」の取り調べを拒否する姿勢を鮮明にしている。尹氏側は拘束を不服として、ソウル中央地裁に拘束の適否を判断する審査を申し立て、地裁で16日、審査が行われた。

公捜処は、最大20日間の拘束が可能となる逮捕状を請求する方針だが、適否審査の結論が出るまで先送りされる。現職大統領として初の身柄拘束後の捜査は、法的措置を駆使した尹氏側の徹底抗戦で幕を開けた。

公捜処や尹氏側弁護団によると、15日にソウル市内の大統領公邸で拘束された尹氏は、ソウル近郊の公捜処庁舎に移送され、同日午前11時(日本時間同)から午後9時40分ごろまで取り調べを受けた。

尹氏は、名前や住所を尋ねる人定質問をはじめ、公捜処の検事が用意した質問には一切答えなかった。半面、「戒厳宣布は大統領固有の権限だ」といった戒厳を正当化する従来の主張や捜査の違法性を一方的に訴える陳述をしたという。

公捜処は16日も取り調べる予定だったが、尹氏側が健康上の理由で拒否。弁護団は「立場については昨日十分に話した」と主張した。尹氏側は公捜処には内乱罪での捜査権がないと批判しており、取り調べ拒否を貫く構えとみられる。

憲法裁判所では16日、尹氏の罷免の可否を判断する弾劾審判の第2回弁論が開かれた。この日から弁論が本格化したが、尹氏本人は出席しなかった。尹氏側は、拘束によって出席が難しいとして期日の延期を申し立てていた。

尹氏側弁護団は、戒厳宣布の背景には不正選挙を疑う情報が多数寄せられたことや、最大野党による国益に反する行為があり、「民主主義の根幹を立て直すためのやむを得ない選択だった」と主張した。「平和的戒厳だった」とも強調し、国会に軍を投入して麻痺(まひ)させようとした疑いについては「あり得ないし、(大統領が)話したこともない内容だ」と反論した。

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