【ソウル＝桜井紀雄】韓国で軍の記念日である「国軍の日」の1日、ソウル中心部で大規模な軍事パレードが行われた。これに先立つ近郊の軍用空港での式典では、有事に北朝鮮指導部が潜伏する地下深くの施設も攻撃できる新型弾道ミサイル「玄武（ヒョンム）5」が登場。北朝鮮の核・ミサイルの脅威に、韓国が「力」で対抗する姿勢を誇示した。
尹錫悦（ユン・ソンニョル）大統領は式典で演説し、「北朝鮮が核兵器を使おうとすれば、韓米による圧倒的な対応に直面することになる」と強調。「その日が北朝鮮の政権終末の日になる」と警告した。北朝鮮とロシアの違法な武器取引が世界平和を脅かしているともし、日米韓の安全保障協力を一層深めていく方針を表明した。
韓国軍は1日、北朝鮮の核や大量破壊兵器に総合的に対応する「戦略司令部」も発足させた。玄武系列のミサイルやステルス戦闘機、潜水艦など陸海空軍が持つ兵器の運用を統合指揮し、対北抑止力を強化する。米国の核戦力と韓国の通常戦力の連動運用にもあたる。
この日登場した玄武5は「怪物ミサイル」と呼ばれ、弾頭重量が8トンを超え、地下深くの標的を破壊する威力を持つ。米戦略爆撃機B1Bも軍用空港上空に飛来し、米韓の連携をアピールした。
北朝鮮は1日、国防次官の談話で米国の動きを非難し「徹底的に力で抑える立場」を主張した。