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韓国で初の「脱北者の日」 尹錫悦大統領、自由と人権前提の対北政策への転換誇示

産経ニュース 2024年7月14日 15時4分

【ソウル=桜井紀雄】韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は14日、韓国政府が初めて開催した「北朝鮮離脱住民(脱北者)の日」の記念式典で演説し、「政府は苦痛を強いられている北朝鮮の同胞から決して目を背けない」とし、「北朝鮮の人権問題を解決することが朝鮮半島の平和と統一を成し遂げる重要な土台だ」と強調した。

尹政権は今年、1997年に脱北者支援に関する法律が施行された日に当たる7月14日を「脱北者の日」に制定した。

初の「脱北者の日」を迎えたこの日、尹氏は脱北者の韓国社会への定着や雇用、教育分野での支援拡充策を明らかにした。

対北融和を重視した文在寅(ムン・ジェイン)前政権下では、脱北者を南北対話の障害とみなす見方も根強かった。尹政権は逆に、脱北者の保護を南北統一の第一歩と位置づけることで、自由や人権といった普遍的価値に基づく対北政策への転換を打ち出した。

尹氏は、中国で拘束された多数の脱北者が北朝鮮へ強制送還されたとされる中、「同胞が強制送還されないようあらゆる外交努力を尽くす」と表明。文政権下では北朝鮮の求めに応じた脱北者の強制送還が行われたことを念頭に「韓国に来た同胞をどんなことがあろうと1人たりとも送り返さない」と強調した。

韓国で暮らす脱北者は約3万4000人に上る。北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)政権になって脱北者の摘発を強化。過去に比べて脱北がより難しくなっているという。

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