【ソウル=時吉達也】韓国与党「国民の力」の韓東勲(ハン・ドンフン)代表は6日、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の速やかな職務執行停止が必要だ」と述べ、弾劾訴追案に賛成する意向を示した。在籍国会議員(300人)の3分の2に当たる200人以上が賛成に回る要件を満たし、弾劾訴追案が可決される公算が高まった。
韓氏は前日まで、弾劾は韓国社会の混乱を招くとして「可決されないよう努力する」と述べ、党として反対する立場を明らかにしていたが、方針転換した。
韓国国会の構成は与党側108人、野党側192人で、弾劾訴追案の可決には与党議員8人以上の賛成が必要。与党議員全体が韓氏に従うかは不明だが、少なくとも韓氏に近い議員ら20人以上が賛成に回る見通しが濃厚となった。
韓氏は6日午前に開催された緊急の党幹部会議で、3日夜の「非常戒厳」宣布に際し尹氏が「『反国家勢力』という理由で主要政治家らを逮捕するよう指示した」事実が「信頼できる根拠」を基に新たに確認されたと説明。逮捕後はソウル郊外の施設に収監する具体的な計画もあったと述べた。
その上で、尹氏が大統領として執務を続ければ「今回のような極端な行動が繰り返され、国と国民を危険に陥れる」と主張した。
最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表も6日午前、声明を発表し、3日の非常戒厳宣布について「大統領が権力を維持、拡張するために行った反乱で内乱行為」だったと改めて批判。尹氏の逮捕手続きを進めるよう訴えた。検察当局は6日、戒厳宣布に関する特別捜査本部を設置したと明らかにした。
弾劾訴追案は、現時点では7日午後7時ごろに国会で採決される予定。可決されれば大統領の職務が停止し、憲法裁判所が180日以内に罷免するかどうかを判断する。大統領が罷免されれば、60日以内に大統領選が実施される。