朝鮮総連(在日本朝鮮人総連合会)傘下の金剛山歌劇団(旧・在日朝鮮中央芸術団)が10日に仙台市民会館(仙台市青葉区)で公演を予定していることが分かった。歌劇団の50周年記念公演というが、市民会館は市が所管しており、北朝鮮による拉致被害者の支援団体などは強く疑問視している。
大阪市では民間ホテルで開催
産経新聞が入手した公演のチラシには「在日コリアンアーティスト達による夢舞台」とある。20日には大阪市で公演を予定しているが、仙台公演と違って民間のホテルで開かれる。
仙台市の担当課は貸し出しについて「歌と踊りのイベントと聞いて予約を受け付けた」と説明。施設使用料は通常通りという。
拉致被害者の救出に取り組む「救う会宮城」は「公的な場所を、市が文化交流という名目で平然と貸していることに強い不満と、現下のわが国と北朝鮮情勢に対し何ら疑問を感じていないことに強い憤りを禁じ得ない」とコメントした。
チラシには後援として河北新報社や朝日新聞仙台総局、共同通信社仙台支社など地元メディアが名を連ねている。
「民間交流もメリハリを、度が過ぎる」
県議会拉致議連の石川光次郎元会長は、産経新聞の取材に「北朝鮮が弾道ミサイル発射など軍事的挑発を繰り返す中、市が管理する施設を歌劇団に貸し出すのは度が過ぎる。民間交流もメリハリは付けないといけない」と述べ、「仙台市が貸し出すから、メディアも容易に後援するのだろう」と指摘した。
歌劇団は過去に仙台市で公演を重ねたが、平成29年9月の公演は中止となった。協賛者の出資見送りが相次いでおり、資金不足に陥ったとみられる。一方、令和5年2月には今回と同じ市民会館で公演の実施が確認されている。
金剛山歌劇団は昭和30年、朝鮮民族の音楽や舞踊の普及を目的に在日朝鮮中央芸術団として設立された。49年に最高の栄誉とされる金日成勲章を授与したとされ、現在の名称になった。
朝鮮総連関係者は日本で経済活動を行い、本国に送金して「拉致国家」を支える。歌劇団は「朝日友好」の側面も持つ一方、公演ごとに収益を上げて総連に寄与している。(奥原慎平)