韓国の市民団体「慰安婦法廃止国民行動」代表の金柄憲(キム・ビョンホン)氏は29日、「韓米日協力関係のためにトランプ政権がすべきこと」と題して産経新聞に寄稿した。「3カ国が慰安婦問題に関する『真実』を共有することが急務だ。偽りから正さなければならない」と強調し、虚偽が指摘される慰安婦証言をもとに2007年6月に米下院で採択された対日非難決議の見直しを訴えた。金柄憲氏は5年以上、ソウルの日本大使館跡地付近に建つ慰安婦像の撤去を求める活動を続けている。
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ピンクの韓服姿の女性
17年11月7日、ソウル・青瓦台迎賓館でトランプ大統領夫妻を国賓として招き、文在寅(ムン・ジェイン)大統領主催の晩餐会が開かれた。政財界をはじめ、韓米友好増進に寄与した人士、格別な事情を持った個人など100人余りが集まった。ピンク色の「トゥルマギ」(韓服)を着飾ったいわゆる日本軍慰安婦被害者の李容洙(イ・ヨンス)氏もいた。
晩餐会に先立ち、文在寅氏は李容洙氏と抱擁した後、トランプ氏の方に、さっと背中を押して抱擁を誘導した。演出された2人のぎこちない抱擁には、朴槿恵(パク・クネ)政権が安倍晋三政権と結んだ15年の韓日慰安婦合意を否定し続けた文在寅氏の内心が込められていた。
李容洙氏は1991年に韓日間の慰安婦問題が起きて以降、慰安婦被害者を自任し、日本政府の公式謝罪と法的賠償を要求する運動を繰り広げた象徴的人物だ。
米下院で「日本軍に何か突き刺され…」
2007年には米下院外交委員会の日本軍慰安婦の聴聞会場で「日本の軍人に背中に何かを突き刺さされ、そのまま連れて行かれた」と証言し、慰安婦問題に関する対日非難決議案採択に決定的な役割を果たした。
慰安婦問題のグローバル化に火をつけた、この証言は「噓」だった。
李容洙氏は日本軍に連れて行かれたこともなく、日本軍慰安所で働いたこともない。台湾新竹にある一般売春業で働いた「売春女性」に過ぎなかった。
無理やり連れていかれたのか
李容洙氏は1992年8月15日、韓国のKBS放送で「16歳だったが、十分に着るものもなく食べることもできずにいたが、ある人がワンピース一着と靴一足をくれて『行こう』と言われ、『はい』と言ってついて行った」と証言している。
「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協、現・日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)が93年に発刊した証言集にも「私たちを連れて行った男が慰安所の主人だった。彼を『オヤジ』と呼んだ」と記載される。
連れて行った人は日本軍ではなく、慰安所の主人すなわち抱え主だったと明らかにしたのだ。
日本政府を相手に提起した慰安婦被害者損害賠償請求訴訟控訴審判決文(2023年11月23日判決)でも、「原告の李容洙氏は1944年頃、日本人について行けば良い服も与えられ、お金を稼ぐことができるという言葉にだまされ、革靴とワンピースを見せて誘引した日本人について行き、台湾新竹にある慰安所に行くことになった」とある。
強制動員された被害者いない
日本軍に強制的に連れて行かれたという米下院での証言は「噓」だったことが明らかになった。李容洙氏は日本軍による被害者ではなく、多くの売春婦の一人に過ぎなかった。
にもかかわらず、文在寅氏は李容洙氏を「日本軍慰安婦被害者」という名分を掲げ、国賓と抱擁するようにした。外交的な欠礼に加え、国賓を冒涜する行為だったのだ。
慰安婦に関する噓は李容洙氏に限らない。韓国女性家族部に登録された240人の慰安婦被害者のうち、日本軍に強制的に動員された被害者は1人もいない。慰安婦は性的サービスを提供して金を稼いだ職業人で、日本軍に強制的に連れて行かれる理由もなく、そのような事例も存在しない。
慰安婦は「国際詐欺劇」
慰安婦問題は、日本で始まった後、韓国で拡大・再生産され、韓国国民をだまし、全世界をだました国際詐欺劇だ。噓が貫かれた「慰安婦」問題は、30年以上にわたり、韓日関係だけでなく、韓米日協力関係の障害となってきた。
トランプ政権2期目の発足に際して、堅固な韓米日協力関係のためには、偽りから正さなければならない。そのためには2007年の米下院での慰安婦決議から見直し、韓米日3カ国が慰安婦問題に関する「真実」を共有することが急務だ。(肩書は当時)