20日(日本時間21日未明)にトランプ氏が米国の新たな大統領に就任したことを受け、北朝鮮による拉致被害者家族は、従前から訴え続けている「全拉致被害者の即時一括帰国」の早期実現に向けて、日米が連携して北朝鮮に強く迫るよう求めた。
金氏と「対話ができる方」
トランプ氏は第1次政権時、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記との米朝首脳会談で拉致問題に触れ、「顕著な進展をみせていない」などと金氏を責めた。過去2度の来日時は、いずれも拉致被害者家族との面会の時間を設け、被害者奪還へ協力する意向を伝えている。
拉致被害者の横田めぐみさん(60)=拉致当時(13)=の母、早紀江さん(88)は21日、報道各社へのコメントで、米朝会談時のトランプ氏の拉致問題への言及について、「とてもみんな喜んでおりました」と回顧。「この度また就任してくださるようになって、そういう機会がまたあるんじゃないかなと思いますので、本当にトランプさんの力をお借りして、家族の再会が果たせるように、ぜひお願いしたいと思います」とした。
また、「何度も日本の歴代の総理とお会いしてお願いしてきたが、(平成14年に被害者)5人がお帰りになった後は全く動かない。私も年を取ってしまい、早くしないと会えないという思いで、非常に焦っております」と率直な心境も明かした。その上で、「トランプさんは正恩氏との対話ができる方です。ぜひ、拉致被害者の救出、帰国を訴えていただき、なんとか助け出していただきたいと思っています」と重ねて求めた。
北朝鮮への〝警告〟も
めぐみさんの弟で、家族会代表の拓也さん(56)もコメントを発表。トランプ氏の大統領就任にあたって日本政府に求めたいこととして、「米国との信頼関係を構築し、言葉に熱量を込めて首脳同士の絆を深めてほしい」と要望した。
北朝鮮に対しては、「拉致問題の解決、そして家族会の親世代が健在な内に全拉致被害者との再会を実現させなければ、日朝両国に明るい未来がないことを認識する必要がある」と指摘。「(日本政府は)そのことを米国政府に改めて強く働きかけ、日米連携で北朝鮮に対して強く迫ってほしい」とした。