【ソウル＝桜井紀雄】韓国国会などに兵力を投入した3日夜の「非常戒厳」宣布を巡り、内乱首謀などの疑いで捜査対象となっている尹錫悦（ユンソンニョル）大統領は、捜査機関「高位公職者犯罪捜査処（公捜処）」などの合同捜査本部が取り調べのため出頭を求めた25日午前10時に公捜処庁舎に姿を現さなかった。
公捜処はしばらく待つ構え。尹氏が出頭に応じない場合、再び出頭を求めるか検討するとみられる。
尹氏を弁護する石東炫（ソクトンヒョン）弁護士は24日、尹氏は憲法裁判所での弾劾審判への対応を優先させる考えで、25日の出頭は「難しい」と記者団に説明していた。国会は14日、尹氏の弾劾訴追案を可決し、職務停止となっている。憲法裁は27日に最初の弁論準備手続きを予定している。
尹氏は、戒厳宣布は大統領の統治行為で内乱罪には当たらないと主張。捜査本部による18日の1回目の出頭要請にも応じず、出頭要請の書面受け取りも拒否している。
公捜処は25日、尹氏が引き続き出頭に応じない場合、身柄拘束に向け令状を請求するかについて「あまりに遠い段階であり、検討することは多い」と説明した。