【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮メディアは18日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記が演説で「核戦力強化路線は不可逆的な政策」だと改めて強調し、核戦力を中心に国防力を「不断に強化していく」と表明したと伝えた。15日に平壌で開かれた朝鮮人民軍の大隊長らの集会で語った内容としている。
金氏は、米国が日韓と安全保障協力を強化して「アジア版NATO(北大西洋条約機構)」の構築を急いでいると指摘。米国主導の軍事同盟は欧州やアジア太平洋地域を包括する広い範囲に拡大し、矛先は米国に最も敵対的なわが国に集中していると危機感を示した。
米大統領選でトランプ前大統領が勝利後、金氏が米国に関して発言するのは初めて。金氏は核による抑止や先制使用に向けて「完璧な稼働体制を整える」と強調し、核戦力の強化で日米韓に対抗する姿勢を鮮明にした。
ロシアのウクライナ侵略を巡り、米欧が実戦経験を積み、軍事介入の範囲を広げるために多くの国が巻き込まれていると非難しながら、北朝鮮の派兵については言及しなかった。