Infoseek 楽天

韓国大統領支持率40%が物議 大手調査でも与野党拮抗、強硬姿勢で野党離れ招いたか

産経ニュース 2025年1月11日 18時24分

【ソウル=桜井紀雄】韓国で「非常戒厳」を宣布し、弾劾訴追された尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率が一部世論調査で40%に達したことが議論を呼んでいる。野党は回答の誘導があったと反発するが、大手調査機関の調査でも与野党の支持率は拮抗(きっこう)。政権交代への危機感に対する保守層の結束だけでなく、政情不安をあおるような野党の姿勢が中道層の野党離れを招いていると分析されている。

大手世論調査会社の韓国ギャラップが10日に発表した調査結果によると、保守系与党「国民の力」の支持率は前回から10ポイント上昇の34%を記録した。革新系最大野党「共に民主党」は12ポイント下落の36%となった。

国会で昨年12月14日に尹氏の弾劾訴追案が可決されて間もなくの前回調査では与野党の支持率に倍の開きがあった。保守層が共に民主党に政権を明け渡す事態に危機感を高めた一方、中道層の同党への期待が薄まった結果だと分析されている。

尹氏の弾劾については賛成64%、反対32%だったが、弾劾訴追直前と比べると、11ポイントが賛成から反対に移った形だ。

大統領の支持率に関しては一般に弾劾訴追され職務停止となった後は定期調査の対象から外れる。一方、韓国世論評判研究所が保守メディアの依頼で調査し、5日に発表した結果では、尹氏の支持率が40%となった。戒厳前に大手の調査で10%台に低迷していたのと比べて飛躍的な数値だ。

共に民主党は昨年末、尹氏の弾劾審判を担う憲法裁判所判事の人事を巡って大統領権限を代行していた韓悳洙(ハン・ドクス)首相の弾劾訴追を主導し、首相まで職務停止に追い込んだ。最近は同党議員が国会で、「銃で撃たれても」尹氏の身柄を拘束するよう捜査機関に促す発言をし、物議を醸した。

韓国メディアは、政治的混乱を招いてまで尹氏の弾劾や身柄拘束を性急に実現させようとする共に民主党の姿勢が支持率低下や与党の支持上昇の背景にあるとみている。

共に民主党は、尹氏の支持率が40%となった世論調査についても、偏向した設問で意図的に回答を誘導したとして調査機関を刑事告発する方針を示した。法的措置を乱発してでも自らの主張を押し通そうとする同党の姿勢に変化は見られない。

この記事の関連ニュース