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ベネズエラのマドゥロ氏「勝利」に抗議した野党支持者ら2千人超を検挙 デモ勢い失う

産経ニュース 2024年8月16日 9時22分

【ニューヨーク=平田雄介】南米ベネズエラで独裁色を強める反米左派マドゥロ大統領は15日までに、7月の大統領選を巡り、影響下の選挙管理当局が発表した「マドゥロ氏勝利」に抗議する野党支持者ら2千人超を検挙した。軍に離反を呼びかけたとして、野党の候補と指導者の捜査も始まった。苛烈な統制を前に抗議デモは勢いを失い、マドゥロ氏は3期目へ強権支配の態勢を固めつつある。

AP通信によると、ベネズエラ選管は「マドゥロ氏が51%の得票で勝利した」としている。だが、開票結果の詳細なデータは未公表で、国連専門家パネルは8月13日の報告書で「現代の民主的選挙で前例がない」と指摘。選挙は「基本的な透明性と完全性」を欠いていると厳しく批判した。

野党側は、全国3万の電子投票機の8割以上から回収した開票記録を示し、統一候補に立てた元外交官のゴンザレス氏が「2倍以上の得票差」で勝利したと訴える。APは、野党側が示した開票記録を検証し、マドゥロ氏勝利の選管発表は非常に疑わしいと報じた。

ただ、抗議の士気は落ちている。マドゥロ氏が選挙結果を疑う者は「容赦しない」と宣言し、デモ参加者を収監するためにギャング向けの刑務所を改修するなど「恐怖政治」(現地外交筋)を敷いているためだ。

治安当局の取り締まりは「手当たり次第」(シンクタンク国際危機グループのフィル・グンソン氏)で、逮捕された人の中には記者やデモ参加者の弁護士も含まれる。摘発を恐れ、デモの様子を撮影した動画をスマートフォンから削除する動きが市民に広まった。

弾圧を警戒し、国際刑事裁判所(ICC)のカーン主任検察官は12日、大統領選後の「出来事を注視している」との声明を出した。

米国のバイデン大統領と南米の地域大国ブラジルのルラ大統領は15日、相次いで再選挙を支持する考えを示したが、ベネズエラの与野党はいずれも「結果は既に出ている」と拒絶した。

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