【ワシントン=坂本一之】米国務省は5日、パナマ政府が太平洋と大西洋を結ぶパナマ運河の米政府の艦船に対する通航料を徴収しないことを決めたと発表した。これに対し、パナマ運河庁は声明で「通航料の調整はしていない」と無料化を否定した。
一方、米ブルームバーグ通信は、パナマ政府が運河の両端にある港を運営する香港系企業との契約解除を検討していると伝えた。
パナマ運河を巡っては、トランプ米大統領が運河地域における中国の影響力拡大を問題視し、通航料の値下げや運河管理権の返還を求めていた。
ルビオ米国務長官も2日、訪問先のパナマでムリノ大統領と会談し、運河地域における「中国共産党の影響と支配は運河への脅威だ」と指摘。パナマ側が対応しなければ必要な措置を講じると警告していた。
ムリノ氏は会談後の記者会見で運河の主権は協議の対象外だと改めて訴えた。一方、トランプ氏の中国に対する懸念に対応し中国による巨大経済圏構想「一帯一路」からの離脱意向を表明した。
米国はパナマ運河を20世紀初めに建設し管理していたが1999年にパナマに返還。運河の拠点港を香港系企業が運営していることを問題視し、安全保障上の脅威と位置付けている。