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強権化する南米ベネズエラで28日に大統領選 野党優勢も公正な選挙実施に懸念

産経ニュース 2024年7月23日 18時2分

【ニューヨーク=平田雄介】南米ベネズエラで28日、大統領選が実施される。3選を目指す反米左派の現職ニコラス・マドゥロ大統領(61)と、野党連合が擁立した元外交官エドムンド・ゴンザレス氏(74)の事実上の一騎打ち。世論調査でゴンザレス氏の優勢となる中、強権化するマドゥロ氏が公正な選挙を妨げ、政権移行を阻む恐れが懸念されている。

危機的な経済、国民の不満募る

米CNNテレビによるとゴンザレス氏は、年64%に上るインフレの抑制や国家機構の信頼回復を目指す。マドゥロ氏は、野党連合が国営石油会社などを民営化し、「ベネズエラの富を手放す」ことになると批判している。

経済は危機的で、主力の石油輸出が、外資国有化による施設劣化や米国の経済制裁を受け低迷。外貨不足とインフレが常態化しており、770万人超が国外へ脱出したとされる。

国民の不満は募り、政権交代を求める声は強い。米非営利法人(NPO)「アメリカ評議会」によると、複数の世論調査でゴンザレス氏の支持率が50~71%、マドゥロ氏のは12~18%と大差をつけている。

マドゥロ氏敗北でも政権移行は困難か

ただ、現地外交筋によると、マドゥロ氏は、敗北した場合も、政権移行に応じる可能性は低い。2013年の大統領就任後、独裁色を強めてきたからだ。17年には独自の制憲議会を発足させ、国会から立法権を剝奪した。18年の前回大統領選は野党が抗議のボイコットをする中で再選した。

今回の大統領選では、最高裁が、野党連合の当初の統一候補マリア・コリナ・マチャド氏の公職追放を決定。野党連合がマチャド氏の次に擁立を決めた大学教授は、選挙管理当局ホームページの「原因不明のエラー」により立候補登録できなかった。最高裁も選管もマドゥロ氏の影響下にあるとみられている。

野党連合は4月、既に立候補登録を済ませていた無名のゴンザレス氏を統一候補として大統領選に挑むと決めた。ゴンザレス氏は人気の高いマチャド氏とともに遊説し、支持を拡大した。

CNNによるとマドゥロ氏は16日、首都カラカスのイベントで、ベネズエラを「血で血を洗う内戦」に陥らせたくなければ、与党が大統領選で勝利しなければならないと訴えた。ゴンザレス氏が勝利した場合に、マドゥロ氏が権力の移行を求める野党連合を武力で鎮圧するような事態が懸念される。

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