【リオデジャネイロ=平田雄介】20カ国・地域首脳会議(G20サミット)が18日、ブラジル・リオデジャネイロで開幕した。貧困、国際機関の改革、気候変動対応などが話し合われるが、ロシアのウクライナ侵略や中東危機を巡って足並みが乱れ、首脳宣言が採択できるかは微妙な情勢だ。立場の違いを乗り越え、G20が一致点を見いだせるか注目される。
会議は19日まで2日間の日程。日本からは石破茂首相が初参加し、米国のバイデン大統領や中国の習近平国家主席が出席。ロシアのプーチン大統領は参加を見送り、ラブロフ露外相を代理として派遣した。
G20は立場の異なる先進国と新興国が一堂に会する枠組み。G20内ではウクライナ侵略を巡り、欧米がロシア批判を深める一方、ロシアと貿易や兵器輸入などを通じて関係が深い「グローバルサウス」と呼ばれる新興国・途上国の中では対露制裁に同調しない国が多い。昨年10月に始まったパレスチナ自治区ガザの戦闘を巡っても、各国の意見に隔たりがあり、全会一致が原則の首脳宣言の採択には逆風だ。
ブラジル有力紙グロボによると、ウクライナ侵略と中東危機について首脳宣言でどう言及するかについての折衝は、開幕直前の週末も続いた。
議長国ブラジルは、飢餓や貧困対策、国際開発金融機関(MDBs)の機能強化など途上国が直面する課題について、優先的に議論したい考えだ。ルラ大統領は開幕前、「戦争を議題にすべきではない」と発言するなど、会議の話題が戦争に集中することを懸念しているようだ。
日米欧は、ウクライナ問題を巡ってG20として踏み込んだ対露批判を打ち出し、混乱する国際秩序の回復に筋道を付けたい考えがにじむ。英国のスターマー首相は17日、サミット閉幕日の19日は全面侵攻開始から1000日の節目だと強調し、「ウクライナ支援の強化は私の最優先課題だ」と語った。