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メキシコ、裁判官の「公選制」を導入 来年6月に初の選挙へ

産経ニュース 2024年9月17日 10時59分

【ニューヨーク=平田雄介】メキシコのロペスオブラドール大統領は15日、原則として市民による選挙で裁判官を選ぶ「判事公選制」を導入する憲法改正の布告に署名した。布告は官報に掲載され、改正憲法は発効した。ロイター通信によると、来年6月に最高裁判事を含む初の裁判官選挙が実施される予定だ。

判事公選制の対象は、軍事法廷など一部の裁判官を除く、連邦・州・自治体レベルの全ての判事ポストで計7千以上。連邦最高裁の判事に関しては、定数が現行の11から9に削減され、任期が現行の15年から12年に短縮される。任命は、現行の大統領が指名して上院が承認する仕組みから、大統領府と立法府、司法府が10人ずつ推薦した候補の中から国民が投票で選ぶ制度に変更される。

左派のロペスオブラドール氏は、判事を国民が選ぶことで「裁判所から腐敗を一掃する」と訴えるが、司法界や隣国の米国からは「犯罪組織が自らに有利な判事候補の当選を目指して支援する」「司法の独立が失われる」と懸念する声が上がる。市場取引の公平性が保たれなくなる恐れもあり、米金融大手バンク・オブ・アメリカは判事公選制は「厄介な影響」をもたらすと投資家に警告している。

判事公選制の導入を定めた憲法改正案は今月、連邦上下院を憲法改正に必要な3分の2を上回る賛成で通過。メキシコ32州の過半数を超える州議会でも承認され、憲法改正に必要な要件を満たしている。

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