【カイロ=佐藤貴生】シリアでアサド政権側と戦うイスラム過激派「シリア解放機構」(HTS)など反体制派は5日、シリア中部の都市ハマを掌握した。首都ダマスカスを目指して南下し、国内第3の都市ホムスに向かうとみられる。政権側はハマから撤収したと認めた。北部アレッポからの退却に続く打撃となる。ロイター通信が伝えた。
ハマは2011年の内戦開始以降、政権側が支配下に置いてきた。支援してきたロシアやレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラがそれぞれウクライナ、イスラエルへの対応に追われ、十分な援護ができないことが劣勢の一因とされる。
シリア人権監視団(英国)は5日、アサド政権側が反体制派の進軍を妨げるため、ハマとホムスを結ぶ高速道路の高架橋などを戦闘機で爆撃したと伝えた。
ホムスはダマスカスとアレッポのほか、地中海に面する西部との間を結ぶ交通の要衝。西部の海軍、空軍基地にはロシア軍が駐留しているほか、北西部ラタキアにはアサド大統領の出身母体で国内少数派のイスラム教の一派、アラウィ派が多く住んでいる。