【カイロ=佐藤貴生】パレスチナ自治区ガザの戦闘を巡り、イスラム原理主義組織ハマスとの停戦に合意したイスラエルで閣議の開催が遅れ、合意の発効が当初予定の19日より後にずれ込むとの懸念が出ている。イスラエルのメディアは混乱が拡大しかねないとしてバイデン米政権が懸念していると報じた。
協議を仲介したカタールや米国は15日に停戦で合意したと発表したが、イスラエル首相府は16日、ハマスが合意内容の一部に異議を唱えたため閣議が開けないと主張した。イスラエルでは今回の合意は、閣議での決定をもって正式な政府による承認とみなされる。
実態は不明だが、イスラエルが釈放する予定のパレスチナ人に関し、ハマス側が獄中にいる反イスラエル闘争の著名人などを加えるよう要求した可能性も指摘された。この問題は収束したもようだが、イスラエル側の手続き上の問題で発効がずれ込む恐れがあるという。
次期米大統領のトランプ氏は、自身が就任する20日までに人質を解放するようハマスに求めていた。
一方、ネタニヤフ連立政権に加わる極右政党「ユダヤの力」のベングビール国家治安相は16日、停戦合意を承認したら同党は連立を離脱すると述べた。合意で定めるパレスチナ人の釈放やガザからの軍撤収は、ハマスの組織再建に手を貸すことになると述べ、「無謀だ」と批判した。