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イスラエル国内に好戦ムード 日本は双方と関係維持し仲介外交を 立山良司・防大名誉教授

産経ニュース 2024年10月2日 21時42分

イランが1日にイスラエルに対して実施した大規模なミサイル攻撃について、中東現代政治を専門とする立山良司・防衛大学校名誉教授に見解を聞いた。

イランが4月のイスラエルへの攻撃以降、特段の動きを見せていなかったのは、ガザの停戦交渉を側面支援する立場だったこともある。だが交渉が一向に進まず、ヒズボラのナスララ師も殺害された。今回のミサイル攻撃は「抵抗の枢軸」として「黙っていない」との姿勢を示したといえる。

今回は4月と違って事前通告が十分なされておらず、一部はテルアビブなどに着弾した。イランには「成功」との考えもあるだろう。だが大半は防空システムによって撃墜された。イスラエルや迎撃に参加した米国からすれば、ダメージは極めて限定的だった。

イスラエルは相応の報復を行うはずだ。効果的なのは核施設や石油施設への攻撃だが、そこまでエスカレートしないだろう。ガザやレバノン、イエメンなど「7正面」で戦うイスラエルは疲れもある。戦費や財政赤字の拡大で経済が疲弊しており、本格的な空中戦を行うのは合理的ではない。

ただイスラエル国内ではここ数カ月、好戦ムードが強まっている。「今がイランを潰す好機だ」という政治家など、対抗勢力を「もっとたたくべきだ」との声が強い。国内のムードが非合理な軍事行動に突き進ませる危険性も否定できない。

日本としては両国との関係を維持すべきだ。イランとパイプがあるのは日本の利点。米国に配慮してイスラエルのために関係を手放す必要は全くない。両国に国際法の順守を訴えつつ、仲介外交で緊張緩和に尽力すべきだ。(聞き手 桑村朋)

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