【カイロ=佐藤貴生】イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスのパレスチナ自治区ガザでの停戦合意は、予定より約3時間遅れて19日午前11時15分(日本時間午後6時15分)に発効した。ロイター通信が伝えた。停戦発効の遅れと混乱は、約1年3カ月に及ぶ戦闘の終結がいかに困難かを示した。
米国やカタール、エジプトが仲介した停戦は19日午前8時半(日本時間午後3時半)に発効する予定だった。しかし、ハマスは第1段階の6週間で解放する予定の人質33人のリストについて、「技術的な理由」で公表が遅れると表明。「ハマスは履行義務を果たしていない」とするイスラエル軍は19日午前、ガザ北部や中部の「テロリストの標的」を爆撃した。
攻撃で少なくとも8人が死亡、25人が負傷したもようだ。停戦発効を見込んで多数の住民が自宅などへ移動していたため、混乱が拡大した。この後、イスラエル政府は19日に解放予定の人質女性3人のリストをハマスから受け取ったとし、停戦発効の兆しが出た。
停戦案によると、第1段階の6週間にハマスは人質33人を解放し、イスラエルは数百人規模のパレスチナ人を釈放する。イスラエル軍はガザの人口密集地から段階的に撤収し、ガザには毎日トラック600台分の支援物資が搬入される。
第2段階の詳細に関する協議は第1段階の期間中に始まり、恒久的停戦やイスラエル軍のガザからの完全撤収を目指す。第3段階では国連などの監視の下、ガザの再建を始める。
イスラエルのネタニヤフ首相は18日の声明で、第2段階に向けた協議が効果的でないと判断した場合は「攻撃を再開する権利」があるとし、米国で20日に大統領を交代するバイデン、トランプ両氏も承認したと述べた。第1段階の間は、ガザとエジプトの境界地帯などで軍部隊の駐留も続けるとしている。