イスラエルのネタニヤフ首相は11日、パレスチナ自治区ガザでの停戦と人質解放に向けたカタールの首都ドーハでの間接交渉に、イスラエル対外特務機関モサドのバルネア長官らを派遣するよう指示した。ネタニヤフ氏はこれに先だって同日、トランプ次期米政権で中東担当特使に就くウィットコフ氏と会談していた。20日にトランプ次期大統領が就任するのを前に、交渉が前進している可能性がある。
イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの戦闘を巡っては、エジプト、カタール、米国の仲介で交渉が行われているが、数カ月間にわたって停滞が伝えられてきた。トランプ氏は、自身の就任前にハマスが人質を解放しなければ「中東に地獄が訪れる」と強い圧力をかけている。
米CNN(電子版)はネタニヤフ氏によるバルネア氏らのドーハ派遣について「交渉が明らかに前進していることと、政府が解決に向けた圧力を感じていることの表れだ」とするイスラエル高官の話を伝えた。ただ、当事者間の隔たりはなお残っているとも高官は指摘した。
ガザ保健当局によるとガザでの死者は4万6500人を超えた。ハマスはなお約100人を人質にとっているとされる。ハマスは恒久停戦やイスラエル軍のガザ撤収を要求してきた。
イスラエルとハマスは2023年11月に一時停戦し、イスラエル側人質の解放とパレスチナ人囚人の釈放が行われたが、戦闘は再開された。(中東支局)