駐在するエジプトに筆者の家族などが観光しに来たので、首都カイロ近郊の「3大ピラミッド」に案内した。何度か足を運んだことはあったが、今回は数年前にできたレストランを初めて訪れ、少々驚かされた。巨大なピラミッド群から徒歩で行ける近距離に建設されていたからだ。
建物は低層の黄土色。周囲の砂漠から浮き上がらないようにという配慮なのだろう。レストランはマカロンで有名なフランスのカフェの系列店で、メニューには欧州風の料理も多く並んでいた。訪れた日、室内は満席の状態だった。
知り合いのエジプト人にこの話をしたら、「あのレストランは砂漠には似合わないと思う。けど、遺跡の維持には人件費など膨大な費用が必要だから、ビジネスとして仕方ないのでは」という答えが返ってきた。
エジプトでは最近、3大ピラミッドのすぐ近くで建設中の「大エジプト博物館(GEM)」が7月初めに全面オープンすると報じられた。建設には日本政府も総額840億円超の円借款を供与しており、日本人との縁も深い。大規模な記念式典も計画中だという。
隣接するパレスチナ自治区ガザでは1月、ようやく停戦が発効した。「遺跡」で海外の観光客を呼び戻し、経済成長につなげるエジプトの作戦は功を奏するか。(佐藤貴生)