【カイロ=佐藤貴生】ヘリコプターの墜落で事故死したライシ大統領の後継を選ぶイラン大統領選の決選投票は6日、開票が行われた。米欧との協調を模索する改革派のペゼシュキアン元保健相(69)と、対立を辞さない保守強硬派のジャリリ最高安全保障委員会元事務局長(58)の争い。決選投票は2005年以来、19年ぶりで、結果はイラン外交の行方を左右する。
イランのメディアによると、6日未明の時点でペゼシュキアン氏が約869万票を得票し、約753万票のジャリリ氏をリードしている。ロイター通信は6日未明、選管当局者の話としてペゼシュキアン氏が勝利するとの見通しを報じた。
有権者は6100万人超で、投票率は50%前後となる見込みで、6月28日の1回目投票を上回りそうだ。投票率が上がればペゼシュキアン氏に有利とされる。
1回目の投票率は約40%と過去最低を記録した。有権者の半数以上が投票をボイコットし、革命体制が信認を失い続けていることが示された。保守強硬派は候補を一本化できず、有力2候補が出馬し保守票が割れた。
ペゼシュキアン氏は米欧との対話を通じて2015年締結の「核合意」を再建し、制裁解除を目指す。ジャリリ氏は制裁に屈せず米欧に妥協しない政策を取ると主張する。イランでは国政全般の決定権は最高指導者ハメネイ師が握る。大統領は行政の長に過ぎないが、政策に一定の影響力を及ぼすとされる。