【カイロ=佐藤貴生】米国防総省は2日、中東地域の緊張激化を受け、弾道ミサイル迎撃可能な巡洋艦や駆逐艦のほか、戦闘機部隊を現地に追加派遣することを決めた。原子力空母エーブラハム・リンカーンを中核とする空母打撃群も配備する。同省は声明で、「イスラエルの防衛支援の増強」が目的だと述べた。
7月末にはレバノンで親イラン民兵組織ヒズボラの幹部が殺害され、イランでイスラム原理主義組織ハマスの最高指導者ハニヤ氏が殺害された。イランとヒズボラ、ハマスはいずれにもイスラエルが関与したとし、報復すると宣言している。
イランは4月にイスラエル本土を攻撃したが、米軍はその前にもイスラエル防衛のため周辺地域の態勢を強化していた。
米ニュースサイト、アクシオスによると、バイデン米大統領はイスラエルのネタニヤフ首相との1日の電話会談で、ただちにハマスとの停戦協議を進めるよう求め、再び緊張を高める行動を取るなら米国の支援は当てにできないと警告した。
イラン革命防衛隊は3日、ハニヤ氏は重量7キロの弾頭を備えた「短距離の飛翔(ひしょう)体」が撃ち込まれて死亡したと発表した。「適切な時期と場所、手段」を選んで報復するとしている。米メディアによると、イラン当局は20人超を拘束して捜査している。
カタールの首都ドーハでは2日、ハニヤ氏の葬儀が行われ、パレスチナ各派の代表や外交団が参列した。イエメンやヨルダン、トルコなどでも追悼集会が開かれた。
ハマスは3日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸でイスラエル軍が行った空爆で幹部が殺害されたと発表した。