シリアのアサド政権を崩壊させた旧反体制派を主導するイスラム過激派「シリア解放機構(HTS)」のジャウラニ指導者は11日、「前政権(アサド政権)の治安部隊を解散し、悪名高い刑務所を閉鎖する」と述べた。ロイター通信の取材に応じた。アサド政権からの転換を国際社会にアピールする狙いがある。
アサド政権では、刑務所で市民や反対派への拷問や処刑が行われていたと指摘されている。首都ダマスカス郊外のサイドナヤ刑務所では、2011年からの7年間で、3万人以上が死亡したと推定されている。
ジャウラニ氏は別の声明で、拷問などに関わった人物に対して恩赦を与えない方針を表明。「逃亡した人々の引き渡しを各国に求め、正義を実現させるつもりだ」と指摘し、ロシアに亡命したとされるアサド大統領を含む関係者の責任を追及する方針を示した。
また、ジャウラニ氏は国際機関と協力し、アサド政権の化学兵器が保管された可能性がある場所の安全確保に取り組むとも述べるなど、国際協調を目指す姿勢も明らかにした。
旧反体制派から暫定首相に任命されたバシル氏は11日、中東の衛星テレビ局アルジャジーラのインタビューで、「近く閣僚を発表する」と明らかにした。国内情勢については、「既に多くの(政府機関の)職員が業務に戻っている」と言及。来週から学校が再開されるとの見通しも述べ、平時に戻りつつあることを強調した。