【カイロ=佐藤貴生】イスラエルとの停戦が発効した19日、イスラム原理主義組織ハマスはパレスチナ自治区ガザで拘束していた人質の女性3人を解放した。イスラエルは20日、引き換えに投獄していたパレスチナ人90人を釈放した。双方による身柄の交換は戦闘が一時休止された2023年11~12月以来。今後も円滑に身柄交換が行われるかが当面の焦点となる。
イスラエルのメディアによると、解放された女性3人は20~30代で、家族と泣きながら抱き合う映像が公表された。1人は拉致される際に手の指2本を失って包帯を巻いていたが、3人とも健康状態は安定しているという。ネタニヤフ首相も帰還を歓迎した。
ハマスが解放を仲介した赤十字国際委員会(ICRC)に3人を引き渡す際、覆面姿で武装した多数の戦闘員が現場で立ち会う動画が公表された。組織はなお健在だとして存在感を誇示する狙いとみられる。
一方、ロイター通信によると、イスラエルが釈放したのは女性69人のほか10代の男性らで、ヨルダン川西岸ラマラでは数千人の住民が出迎えて祝福した。
停戦合意の第1段階は6週間で、期間中にハマスは人質約100人のうち33人を解放する。発効から7日目に4人を解放した後は毎週3人ずつ解放し、最終週に残る全員を解放する。イスラエルは引き換えにパレスチナ人約1900人を釈放すると報じられている。
ガザでは避難していた住民らが自宅に戻る動きが本格化した。多数の人々が、がれきの中を徒歩で移動する様子が放映されている。
停戦は19日昼前、予定より約3時間遅れで発効した。AP通信によると、停戦発効を受けて人道支援が本格化し、支援物資を積んだトラック630台以上がガザに入った。