【カイロ=佐藤貴生】内戦下のシリアでアサド政権側と戦うイスラム過激派「シリア解放機構(HTS)」など反体制派は、北部アレッポの大部分を制圧して南下し、中部ハマ近郊の一部を占拠した。シリア人権監視団(英国)が3日伝えた。
ハマは南方の首都ダマスカスと高速道路で結ばれた戦略上の要衝。双方の激しい戦闘が起き、政権側と後ろ盾のロシアが投入したとみられる戦闘機が反体制派を空爆したもようだ。
ロイター通信によると、油田地帯がある東部デリゾールでも少数民族クルド人主体の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」と政権側が対峙(たいじ)している。また、イラクの親イラン民兵少なくとも300人がシリアに越境した。アサド政権側を支持して参戦する見通しだ。
周辺地域を巻き込んた紛争に発展しかねない情勢で、外交交渉も本格化している。イランのアラグチ外相は1日にシリアでアサド大統領と会談し、2日はトルコに移動してフィダン外相と会談した。
アラグチ氏は同日、イランとトルコ、ロシア3カ国の外相が7、8日に国際フォーラムが開かれるカタールの首都ドーハで会談する可能性があると述べた。イランとロシアはアサド政権側、トルコは反体制派をそれぞれ支援している。
これまでアサド政権側を手厚く支援してきたレバノンの親イラン民兵組織ヒズボラの関係者は、戦闘員をシリアに送る予定はないと述べた。イスラエルとの戦闘が激化したのを受け、10月中旬にシリアから戦闘員を引き上げたという。